理想と現実のギャップ?遺族年金の男女格差は合憲

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理想と現実のギャップ?遺族年金の男女格差は合憲

司法書士というお仕事 ~司法書士鈴木一郎の歳時記~,司法書士の日常

2015/06/21 理想と現実のギャップ?遺族年金の男女格差は合憲

年金には、加齢・死亡・病気、怪我という
リスクに対する補償として、老齢年金・
遺族年金・障害年金があると先日書いた
ばかりですが、今回はその内の
遺族年金の支給要件の男女格差問題
取り上げられた判決です。 

 

 

本件は、地方公務員の配偶者が亡くなった場合、
妻は年齢を問わず、夫は55歳以上でないと
遺族補償年金が受け取れないという、
地方公務員災害補償法の規定は、「法の下の平等」を
定めた憲法に反するか否かが争われた裁判です。

 

そもそもこの法律は1967年施行のもので、
支給要件もその当時の社会情勢
反映したものと思われます。

 

当時の日本の家庭では「夫は外で仕事、
妻は家庭で家事」という役割分担されて
いるのが普通で、一家の大黒柱である夫が
亡くなると家庭は家計的に大変だが、
妻が亡くなっても家計にとっては
影響が少なかったということでしょうか?

 

 

ただ、一審である地裁では、共働き世帯が
一般的になり、性別だけで受給権を分けることに
合理性がないと憲法に反するという判断をしたのに、

 

二審である大阪高裁では、女性を取り巻く
社会情勢について、非正規雇用の割合が
男性の3倍近いことや、賃金の額が男性の
6割以下と低いことを指摘し、「妻を亡くした夫が
独力で生計を維持できなくなる可能性は低い」とし、
「現在の社会情勢でも、夫のみに年齢制限を
設けることは不合理な差別とはいえない」とし、
合憲という判決を出しています。

 

判決の正否は別としても、現在の社会情勢が
法施行当時の50年前とあまり変わっていない
というのはなんだか寂しいような気がしますね。

 

 

男女平等という精神を植え付けられて育った
私としては、あるべき社会を打ち上げた
日本という国の現実が、あまりにも理想から
遠くにあるという現状の責任を誰がとるのか、
などと考えてしまいますね。 

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